2012年2月23日木曜日

感謝

12月18日(日)に関西大学で開催されたコーパスとメタファーに関するシンポジウムは73名にのぼるご参加をいただき盛況のうちに幕を閉じました。議論にご参加いただいた、大森先生、谷口先生、大石先生、さらにご来席いただいた皆様、ありがとうございました。

2011年12月18日日曜日

HOME

「認知メタファー理論はDeignanの批判にどのように応えるのか―言語と認知の乖離を超えるコーパス・メタファー研究の展望―」

Deignan (2005)は明らかに認知メタファー理論に大きなインパクトを持ちました。本シンポジウムでは、Deignanによる旧来の認知メタファー理論に対する批判を取り上げ、その当否をDeignanおよびコーパスを用いたメタファー研究の立場と旧来の認知メタファー理論の立場の双方から吟味し、下記のような論点ごとにその妥当性を検証します。さらに、メタファー研究へのあるべきコーパスの利用法および言語表現と概念構造の関連を展望します。

・慣用性と死喩の問題
・頻度情報はメタファー研究にどのような意味を持つか
・品詞は概念構造の中で意味を持つか
・語の評価性とメタファー
・写像の不完全性はどのように考えるべきか
・言語から認知が研究できるのか

進行はまず、谷口講師から認知メタファー理論の基本的な枠組みに関してご説明いただき、次にDeignan(2005)の訳者の一人でもある大森講師からDeignanの論点を実例を交えてご説明いただきます。休憩を挟んで鍋島からLakoff and Johnson流の観点からDeignanの指摘および批判に対して再検討を加えます。最後に趣向をやや変えて、おもに日本語でコーパスを利用したメタファー研究を早くから続けている大石講師から、日本語の例でコーパスを使用したメタファー研究についてお話いただきます。

15:10-15:20 はじめに(司会)鍋島弘治朗
15:20-15:45 第1発表 (講師)谷口一美「認知意味論によるメタファー理論」
15:45-16:10 第2発表 (講師)大森文子「コーパスを用いたメタファー研究の方法と可能性」
16:10-16:20 休憩
16:20-16:45 第3発表 (講師)鍋島弘治朗「Deignanの批判に対するLakovianの反駁」
16:45-17:10 第4発表 (講師)大石亨「コーパス研究が明らかにするメタファーの文法」
17:10-17:30 質疑応答

日時:12月18日(日)15時10分から17時30分
場所:関西大学千里山キャンパス 第1学舎5階A501教室
当日参加費:会員・非会員ともに無料
お問い合わせ先: 関西大学鍋島研究室(spiralcricket@gmail.com)

英文学会関西支部大会懇親会 18:30-20:30 凛風館 2階 Di Noah (生協食堂) 会費 5,000円

2011年9月16日金曜日

認知意味論によるメタファー理論  (谷口一美講師 発表要旨)

認知意味論によるメタファー理論
谷口一美(大阪教育大学 准教授)

本発表は、シンポジウム全体の導入として、Lakoff, Johnson らによる認知意味論の枠組みによる概念メタファー理論を中心に概説する。Deignan (2005) の第1章から第3章で、概念メタファーを中心としたメタファー論のアウトラインが簡明に示されているが、その中でもとりわけ、概念メタファーを基に産出される言語表現の比喩性・慣用性の問題について取り上げる。Deignan がコーパスをメタファー研究に適用する必要性の根拠として挙げているのが、概念メタファーに基づき産出される(主に作例による)表現と、実際の使用における使用頻度との齟齬である。しかし、使用基盤モデル (usage-based model) の見方に基づくと、出現当初は新奇で比喩性の高い表現であっても、一定の頻度で使用されることにより、いわゆる「死んだ比喩」(dead metaphor) として慣用化される可能性は残されている。本発表では、使用頻度の低い新奇なメタファー表現が「生きた」概念メタファーの機能の一端を示すと捉え、比喩的意味の動態的な側面に対しどのようなアプローチが可能であるか、検討課題を示したい。